病院長 伊藤 大輔

川崎市立井田病院は昭和24年に開設、平成21年から改築に着手、27年の新棟全面開院を経て立体駐車場・保育所・外構工事といった付随工事も令和3年に完了いたしました。

当院は開設時より市内で唯一の結核病棟を有し、AIDS治療や輸入感染症に対しても豊富な診療経験を誇ります。その特徴を生かし令和2年から日本を襲ったコロナ禍の中では常に最前線で奮闘し、神奈川県内でも1-2を争う規模で入院・外来診療に当たるとともに地域医療機関・介護施設の職員・家族のワクチン接種にも先頭に立って協力して参りました。

一方、平成18年には地域がん診療連携拠点病院に指定され、予防から診断、治療、緩和医療、在宅医療まで、切れ目のないがん診療を構築するなど特色あるがん診療を展開してまいりましたが、改築を機に救急外来と一体化した救急対応病棟を整備するなど、2次救急医療体制を強化、手術支援ロボットなど先進医療機器の導入、飛躍的に拡充された消化器疾患診療部門、化学療法センター、透析センターなど地域の皆様の多様なニーズに対応できる高度診療機能の向上に努めております。

診療とともに井田病院が担うもう一つの大きな役割は医療従事者あるいは学生の教育です。医師初期臨床研修あるいは専門医育成プログラムでは川崎病院とともに大きな実績を築いており、全国から選抜された優秀な若手医師が多数活躍しています。 認定看護師、特定看護師の育成、看護学生、医学部・薬学部はじめ医療技術職の学生実習など医療従事者の教育環境の充実に注力しているのも川崎市立病院の大きな特色といってよいでしょう。

昨今大規模災害に対する対応が注目されております。昨年1月には当院DMAT隊が珠洲市に派遣されるなど、災害医療に対する機能も高く、神奈川県災害協力病院としても期待されているところです。

以前から在宅医療に先進的に取り組んできた当院は地域包括ケア病床を活用して地域医療の後方支援に積極的に取り組み、地域在宅医療の中核としての役割も果たしています。地域医療機関との連携を重視し、お互いに機能を補完し合いながら地域医療を守ってきた実績が評価され、令和6年3月には地域医療支援病院の承認を受け、ますます地域連携を強化させております。

今後も地域医療機関の先生方との連携をさらに密にして、地域全体で市民の皆様の健康を守って参りたいと存じます。引き続きご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

令和7年5月


川崎市立井田病院
病院長 伊藤 大輔